ミエル・ド・ティユールの効能
ティユールはちみつの効能
ティユールは蜜源植物です。落葉性の木で、分類学的にはシナノキ科(または系統分類によりアオイ科)に属します。成長は早く、種によって高さは15mから最大40mまでさまざまです。横に広がり、存在感のある木で、健やかに育つには十分な空間が必要です。
ヨーロッパでは、在来種として小葉のティユール(Tilia cordata)と大葉のティユール(Tilia platyphyllos)があり、フランスでは平野部や丘陵地、特にアルザス地方やロレーヌ地方に自然分布しています。1792年にはフランス革命の価値を象徴する木のひとつとして選ばれました。
葉について
ティユールの葉の縁は小さなギザギザ(鋸歯)になっており、ハート形をしています。これを「心形葉(cordée)」と呼びます。この形状から、神話では愛、女性らしさ、誠実さの象徴とされてきました。葉は互生で、枝に交互に付き、両面とも柔らかく細かい毛に覆われており、特に裏側に多く、先端は鋭く尖っています(鋭尖頭)。
ガストロノミーでの使用
ティユールの若葉はまだ柔らかいため、料理にも使用されます。香り高く、飲み物やリキュール、煮込み用の出汁、粉、サラダ、デザートの材料として使われます。
開花
開花は短いながらも非常に強く、開花時期の天候によって年ごとに蜜の量(ミエレー)は変動します。6月には分岐した花序が現れ、1つの花序に3〜16の花がつきます。この花序の柄(ペティオール)には基部に細長く膜状の葉が付いており、後に小さな果実の散布装置となります。花びらは淡い黄色がかった白色で、壁の薄い球形の痩果(アケン、直径3mm)を持ちます。ティユールの花は、鎮静作用、鎮痙作用、解熱作用があることで知られています。偏頭痛や胃の痛みを和らげる働きもあります。

養蜂における価値
ティユールの花は、ミツバチに蜜と花粉を提供するため、よく訪れられます。花の強い香りは送粉昆虫にとって非常に魅力的であり、風によって部分的に受粉が行われることもあります。
導入種の中には、ミツバチや特にマルハナバチにとって毒性があるとされるものもあり、多数の死骸が木の根元で見つかることがあります。これは特に以下の種に該当します:
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銀葉ティユール(Tilia tomentosa:葉の裏が白銀色)
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クリミアティユール(Tilia euchlora)
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中国ティユール(Tilia olivieri)
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コーカサスティユール(Tilia dasystyla)
この現象の正確な原因はまだ解明されていません。
ミツバチはまた、Eucallipterus tiliae というアブラムシの一種が葉から吸い取った樹液を消化して作るミエラ(甘露)も集めます。この消化された樹液は、葉の上に光沢のある粘着性のミエラとして排出され、ミツバチにとってはごちそうです。長時間なめた後、ミツバチはこのミエラを再び消化し、通気させてから、蜜と同様に巣に貯蔵します。

ティユールの有効成分
ティユールには以下のような豊富な有効成分が含まれています:
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フラボノイド:水溶性色素であり、抗酸化作用を持ちます。ティユールの葉に含まれるものはケルセチンとケンフェロールです。
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ムチン(粘液質):水溶性食物繊維が豊富で、腸の動きを整える働きがあります。
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タンニン:天然のフェノール成分で、抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぎます。収れん作用もあります。
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ポリフェノール:バランスの取れた食事の中で、善玉コレステロール(HDL)を増やす働きを持ちます。
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カフェ酸:酸化ストレスから細胞を守り、抗菌・抗真菌作用も持ちます。
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ファルネソール:多くの植物に自然に含まれる芳香性のアリコールです。
ミエル・ド・ティユール(ティユールはちみつ)
ミエル・ド・ティユールは、不眠症の治療にも用いられる蜂蜜として知られています。
含まれるフラボノイドとファルネソールが、睡眠に関与する脳内の受容体に作用し、鎮静効果をもたらします。また、カリウム、カルシウム、マンガンなどの微量ミネラルも含まれています。Miel Factoryが採取したミエル・ド・ティユールは淡い黄色の色合いで、その香りは魅惑的で強く、花の香りにミントとバルサムのようなニュアンスが重なります。結晶化はゆっくりと進み、粒子は細かくなめらかです。ハーブティーに加えたり、パンに塗ったりして楽しむのに最適です。


